99年9月30日、茨城県東海村のウラン燃料加工施設で臨界事故(核分裂反応が連続しておこる)が
発生し、作業員の方などが放射線を被爆する事態となりました。あってはならないことが起きてしまった
訳ですが、「病院でレントゲン検査を頻繁に受けているが大丈夫なのか?」と不安に思う方もおられ
るでしょう。今月は、医療機関でのレントゲン検査が全く安全であることを具体的な数値をあげて
ご説明します。

  X線(レントゲン)検査は「検査によって得られる医療上の利益」が、「患者さんが
放射線を照射される不利益」を上回る場合にのみ行われます。漫然と撮影する
訳ではありません。X線検査によって非常に多くの情報が得られ、それを診断や
治療に役立てることで患者さんに大きな利益をもたらすのです。検査に伴う放射
線の量は非常にわずかなもので、影響は殆ど皆無です。以下に具体的な数値を
お示しします。

  放射線をどのぐらい浴びたかをしめす単位にSv(シーベルト)が使われます。これを使って医療機関での
検査でなく、普通の生活であびている放射線の量をあげてみましょう。
 自然界では、宇宙や土壌から放射される放射線があり、これを自然放射線とよんでいます。大気が
薄くなる高地ほど自然放射線は強くなります。ジェット旅客機は1万メートル以上の成層圏を飛行するので
地上より強い放射線が降り注ぎます。例えば、

 日本からアメリカへ飛行            1回あたり  1万分の1 Sv です。
 ちなみに関東地方の自然放射線は      1年あたり  1万分の2 Sv とされています。

 この自然放射線の量は世界各地で非常に大きな差があります。幾つか例をあげましょう。
 
 ケララ州(インド)   1万分の150Sv/年  
 この地方の土壌が放射性物質を多く含むため。関東地方の75倍
 
 ラパス(ボリビア)  1万分の 27Sv/年
 世界一高地(3600m)にある首都。宇宙からの放射線が強い。同じく13.5倍
 
 ボゴダ(コロンビア) 1万分の 15Sv/年
 世界一高地(3600m)にある首都。宇宙からの放射線が強い。 同じく13 .5倍



それでは、医療機関でのX線撮影であびる放射線の量はどうでしょうか?歯科で一般的な2種類の
撮影法の場合、最もX線をうけやすい目での数値をあげてみましょう。 

 デンタルX線撮影  およそ10万分の16Sv     
 パノラマX線撮影   およそ10万分の 6Sv
  
ちなみに、白内障などの障害がおきる恐れのある放射線の量は、
     
 0.15Sv以上/年  または 15Sv以上/50年 です。

  つまり、1年間にデンタル撮影を約1000回行っても障害などの副作用はなく、安全なことになります
歯科医院でこのように大量のレントゲン撮影をすることは有り得ません。どうぞご安心下さい。
デンタルX線装置(左)とパノラマX線装置(右)。 それぞれに特徴があり、目的により使い分けます。 歯科ではポピュラーな撮影機器です。  撮影した画像はこちらをご覧ください