お口を大きく開けた時、歯と同じくらい目につくのが舌ですね。
「舌づつみをうつ」「舌を巻く」などのことわざ、慣用句も多いヒトに
とって非常に大切な器官といえます。でも皆さん、良く知っていますか?
 今月から舌についてのあれこれをお話していきます。
舌は歯とともに口腔内 の主要な器官です
 ヒトの胎児で舌が最初にできはじめるのは妊娠4週めの終わり頃です。歯(乳歯)が出来始める
のが6〜7週目ですから随分早いことになります。生まれて直ぐに必要なのは母乳を吸う能力です
から、歯よりも舌が先にできるのは当然ですね。同じ頃上あごや下あごも作られ始めます。いずれも
「食物を摂取するのにまず最初に必要な器官」です。
 オトガイ舌筋、舌骨舌筋、小角舌筋、茎突舌筋、上縦舌筋、下縦舌筋、横舌筋、垂直舌筋
ヒトの舌には8種類もの筋肉が縦横無尽にはしっています。食物を口の中に取り込み、歯が
かみ砕くのを助けてノド(咽頭)にまで送りこむために、舌は口の中だけでなく外にまで
前後左右に自在に動けることが必要です。そのためにはこれだけ多くの筋肉が必要なのです。
まさに「筋肉の塊」といえます。
 ヒトや高等なサルは他の動物と違い、.進化の過程で「手の指が器用に使える能力」を獲得
しました。そのおかげで「手指で食物をつかんだり加工して口に運ぶ」ことが可能になりまし
たが、他の動物ではその役割を口、歯、舌が果たしています。
 ユニークな舌をもつ動物にオオアリクイがいます。オオアリクイは南および中央アメリカの熱帯
雨林に生息し、体長約2.2メートル(そのうち尾が1メートル)ほどの哺乳類ですが、舌の長さは
約60センチもあります。細長く小さい口から1分間に160回以上も舌を出し入れしてアリなどの昆虫
を捕らえて食べます。
 また、自在に伸縮する長い舌をまるで手のように使って餌を捕らえるカメレオンの早業は皆さん
良くご存知でしょう。 
 これらはほんの一例ですが、食物を摂取するという、生きるための最も基本的な能力を環境に
合わせ進化させた動物は数多くみられます。
オオアリクイ 
哺乳類のなかで分類上は「貧歯目」に属し、歯を全く持たない。
脊椎動物の歯の進化については
「歯と健康のために」No.53 歯の物語 その1
をご覧下さい。
カメレオン 
獲物を捕らえようとする瞬間。アフリカ大陸から、
マダガスカル島、地中海沿岸、インドまで幅広く
生息している。種類が非常に多い。
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