顎顔面外傷の原因には、いくつかの特定なもの(交通事故など)があります。これらの原因にはそれに応じ
た対策をとることで、かなりの予防効果が期待できます。今月はそのあたりのお話です。
 
   一般の自動車では、エアバッグが標準装備されるものが多くなって
きました。シートベルトと併用することで顎顔面の外傷をかなり防止
することができます。
 バイクの場合はヘルメットの型も重要です。下あごまでをスッポリと
覆う、いわゆるフルフェイス型の方が顔面が露出しているジェット型
などよりも顎顔面を保護する性能は優れています。もちろん最良の
予防は安全運転ですが。
バイクのヘルメットのタイプ フルフェイス型(右)はジェット型(左) よりも顎顔面を保護する性能に優れる
 
  ボクシング、ラグビー、空手などのいわゆるコンタクトスポーツでは、顎顔面に怪我をする危険は常に存在
しています。そこで近年では、多くのコンタクトスポーツで顎顔面や脳を保護する目的でマウスガードの使用
を義務化、あるいは推奨する傾向にあります。顎顔面の怪我を予防するだけでなく、脳への衝撃を和らげ
脳震盪などの防止にも効果があることが判ってきているからです。
 
   マウスガードには大きく分けて2種類あります。ひとつはスポーツ用品店などで購入できるストックタイプと
よばれるもので、大中小などのサイズがあり、使う選手自身がお湯に漬けて軟化し調整できるものもありま
す。もうひとつは歯科医が歯型や咬みあわせの記録をとり、選手一人一人に合わせて作製したカスタムメイ
ドタイプです。
 ストックタイプは価格が安く、店舗で購入できるため手軽に使用できる利点がありますが、歯列にフィットし
ないため装着感が悪く、次第に使用を止めてしまう傾向があります。また咬みあわせが不適切な場合が殆ど
で、顎関節などに障害がおきる危険性があります。やや高価ですがカスタムメイドタイプを使用し、定期的に
歯科でチェックをお受けになることをを強くお勧めします。
 
  マウスガードの種類
 カスタムメイド(左)とストックタイプ(中央、左)。カスタムメイドでは歯列や歯肉にぴったり合い、咬みあわせ も適切に調節してある。前歯、奥歯など場所ごとのマウスガードの厚みも充分考慮されている。ストックタイプ ではそのような細かな、しかも重要な調節は不可能で、怪我を防げないばかりか、顎関節障害などの弊害が 心配される。カスタムメイドの普及率は現在まだまだ低いが、スポーツ指導者と歯科医との連携により徐々に 拡がってきている。