人類が文字を使って記録を残すようになると、(歯科)医学の進歩を系統立てて追うことができるようになります。その最も古い記載があるのが古代エジプトとメソポタミアです。
医学に関する最も古い記述は、紀元前2800年頃のシュメール人の絵文字にさかのぼることができますが、シュメールの絵文字そのものは現在は失われており目にすることは出来ません。古代シュメール文字を読むことが出来たアッシリア人やバビロニア人が楔形(くさびがた)文字で粘土板に写し取っていたので内容の一端を知ることが出来ます。
(右図;鉄製の剣に記された楔型文字。古代メソポタミア)
 「目には目を 歯には歯を」で有名なハンムラビ法典(紀元前1900年ごろ) によると、紀元前2500年頃には医療従事者は政府の管轄下で 、高い地位が与えられていました。一方で職務怠慢や治療の失敗に対する罰も存在し、その最も重いものは手を切り落とすというものでした。
 古代エジプト文明といえばピラミッド、ツタンカーメン王の黄金のマスクなどが連想されますが、医学の分野でもとても詳細な記録をヒエログリフ(神聖文字)を用いてパピルス(ナイル河畔のアシの茎でできた紙)に残しています。
 
左;ヒエログリフ。ナポレオンがフランスに持ち帰ったロゼッタストーンを使い、シャンポリオンによって解読された


 BC1900年頃の作と言われる『エーベルス文書(Ebers' Papyrus)』は、長さ20m、109章に分かれ、総行数は2289行に及ぶ膨大な文書です。これには800種の処方と700種の薬品が書かれています。また歯痛を和らげる鎮痛療法、グラグラしている歯の固定法、歯周病などの数種類の口腔疾患とその療法の記載もあります。






左;「死者の書」複製
パピルスに描かれたヒエログリフとエジプトの神々。審判を受けた死者は楽園で永遠の命を得る
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