今月から「お口からみえる栄養学」のタイトルで、お口の中の病気を予防、改善するための食事、栄養素を考えることから全身の健康増進に役立つお話をしていきたいと思います。第一回はカルシウム(Ca)です。

 カルシウムは人体に最も多く含まれているミネラルで、なんといっても歯や身体を支える骨の主成分です。また筋肉の動きに深く関わり、心臓の機能を正常に保つという重要な役割があります。不眠症、イライラなどにも効果があるといわれています。不足すると成長期ではくる病、成人では骨軟化症、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になり、骨がスカスカになって簡単に骨折(病的骨折)をおこします。

 血中のカルシウムが不足すると、その濃度を一定に保つためにカルシウムの貯蔵庫である骨から血中へ溶け出していきます。身体中で最初にカルシウムが溶け出す骨が何と顎骨(あごの骨)であることがわかっています。つまり骨粗鬆症は顎の骨に最初に現れる訳です。あらたなカルシウムの補給がないと骨の密度が下がり(スカスカになる)色々な問題がおきてきます。

 96年に実施した全国調査によると、自覚症状のない人も含めて約1千万人が骨粗鬆症になっていると考えられています。
これによっておこる最も大きな病気は大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)骨折で、92年の1年間で7万7千人の方が骨折し、その人数は5年前に比べ1・5倍になっています。

 骨粗鬆症になっていると、ちょっと転んだだけで簡単にこの骨折をおこしてしまいます。これがきっかけになって寝たきりになるお年寄りも少なくありません。

 また「ひどい腰痛に悩まされている」ので診察を受けたところ、骨粗鬆症のために腰骨(腰椎)がつぶれていた(腰椎の圧迫骨折)という場合もあるのです。

 現在では寝たきりをを防ぐために種々のリハビリ療法が進められていますが、骨折しないにこしたことはありません。


急速な高齢化社会を迎えて、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の向上が叫ばれています。つまり「ただ長生きするのではなく、元気に、生きがいを持って生きる」ということです。
 その実現のためには健康的な食生活をおくるのが望ましいですが、栄養素のことも少し知っておく必要がありそうです。
 「病が入る」のも「健康の入り口」も口からといいます。今月からカルシウムをとりあげました。
来月は日常生活の中でカルシウムを有効に取り入れていく方法を考えていきます。

 
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